この記事にて作成した漫画の描写による分類をもとに鬼滅の刃（吾峠呼世晴）について分析してみる。
■ 1-a. 子ども描写：幼少期
- 子どもは 善性と脆さの両方を自然に持つ存在として描かれる。
- 幼少の悲劇は「人格の歪み」ではなく、優しさ・決意を強める起点として使われる。
■ 1-b. 子ども描写：ティーン期
| 類型（使用率順） | 使用率 | 説明 | 具体例 |
| A：純粋性（最重要） | 35% | 正しさ・優しさ・誠実さが行動原理。敵にも手を伸ばす。 | 炭治郎 |
| C：弱さ・脆さ | 25% | 自己否定・恐怖・喪失。だが必ず“回復線”に接続するのが鬼滅独自。 | 善逸／玄弥 |
| E：俯瞰・諦観型 | 20% | 世界の非情さ・弱者の死を理解したうえで戦う。 | 義勇／しのぶ／カナヲ |
| B：理念先行型 | 10% | 明確な価値観・生き方を掲げて戦う。 | 煉獄杏寿郎／冨岡義勇 |
| D：カオス源 | 10% | 奇矯さ・突発性・直感主義。善悪ではなく“型破り”。 | 伊之助／善逸 |
■ 2. 女性描写
| 類型 | 使用率 | 説明 | 代表例 |
| D：傷ついたヒロイン | 40% | 過去の痛み→意志による再生。 | しのぶ／カナヲ |
| A：対等戦力 | 30% | 完全な戦闘能力・役割。 | 胡蝶しのぶ／甘露寺蜜璃／栗花落カナヲ／珠世 |
| B：母性・支え | 20% | 家族的支え・包容。 | 産屋敷あまね／珠世 |
| C：美と畏怖 | 10% | 美と恐怖の二面性。 | しのぶ |
■ 3. 悪役描写
| 類型 | 使用率 | 説明 | 具体例 |
| B：背景起点（悲劇） | 40% | 差別・家族喪失・貧困などが悪の源。 | 多くの鬼 |
| C：純粋悪 | 25% | 無惨のような絶対悪。赦し不能の核。 | 鬼舞辻無惨 |
| A：理念の影 | 20% | 炭治郎の“慈悲”の反転。 | 童磨（偽慈悲）／無惨の思想 |
| F：回収悪役 | 10% | 人間性を取り戻す。 | 一部の鬼の人間性の残滓 |
| D：システム悪 | 5% | 無惨の支配構造・血の階級制度。 | 鬼の構造 |
■ 4. 仲間描写
| 類型 | 使用率 | 説明 | 代表例 |
| A：家族共同体 | 40% | 心の絆の核。 | 炭治郎・善逸・伊之助・禰豆子 |
| C：距離調整 | 30% | 心の距離が揺れつつ修復。 | 善逸⇄炭治郎／伊之助⇄炭治郎 |
| D：強者集合 | 20% | 柱のような個の戦力集合。 | 柱 |
| B：利害一致 | 10% | 任務による協力。 | 鬼殺隊各隊の連携 |
■ 5. 家族描写（使用率 × 類型）
| 類型 | 使用率 | 説明 | 具体例 |
| A：理想家族 | 40% | 炭治郎家に象徴される“あたたかい家族”。 | 竈門家 |
| C：対話家族 | 25% | 和解・選び直す関係。 | 胡蝶姉妹 |
| D：欠損家族 | 20% | 喪失・家庭崩壊。 | 伊之助／玄弥 |
| B：呪い家族 | 15% | 支配・抑圧・歪んだ家族。 | 累の疑似家族 |
■ 6. 発言ベース価値観
- 人の優しさと強さを描きたい
出典：公式ファンブック弐（2021）
→ A・C（優しさ・弱さ→回復）の根幹 - 弱さを抱えた人が、それでも前に進む物語が好き
→ C（脆さ）の中心性 - 嫌な人間も理由がある
→ 悪役Bの根拠 - 鬼にも人間だった頃がある
→ Fの回収構造 - 悲劇は終わりではなく、再生の始まり
→ 鬼滅の“レジリエンス構造”
■ 7. 総合分析
- 子ども描写：A（純粋性）×C（脆さ）が核
- 女性描写：優しさ×強さ×再生
- 悪役描写：悲劇起点＋絶対悪（無惨のみ）
- 仲間描写：選ばれた家族
- 家族描写：救いの象徴と喪失の両輪
■ まとめ
鬼滅の刃は弱さ・痛みを否定せず包み込み、優しさにより再生する悲劇・救済型の作品と読み取れる。